眠っている間に、4時間の手術が終わっていた

そうなんです。全身麻酔だったため全く記憶がなく、意識を失っていたのです。
医療技術はすごいなと、実感しました。

手術室に入ってから、あっという間の出来事

弟と手を振って別れたあと、車いすのまま手術室に入り、手術台に移動して。
看護師さんが2人がかりで、素早く準備をしてくれる。
あっという間に、酸素マスクをして、
「おくのこさーん。1から10まで順番に数を数えていってください」と看護師さんが言うので、

おくのこ
おくのこ

いち、にー、さ・・・・

もう、2秒ぐらいで意識がなかった。2は言ったけど、3は言った記憶がない。

次に目を覚ますと、いつのまにか、いろんな声が聞こえてきて。
「おくのこさーん。おくのこさーん。終わりましたよー。大丈夫ですか?」
覗き込むように声をかけてくださっていて、手術担当の先生でした。
たぶん、何度か声をかけていたんだと。その何度目かで目が覚めました。
「あ、先生。ありがとうございます。」

まさに、先ほどの手術室のまま。
1、2、、と数を数えてたまんまの状態です。
ぼんやりとした意識で、でも、終わったんだとほっとしました。

意識はぼんやりとしてますが、看護師さんが、いろいろしてくれてます。
そこに弟も覗き込むように現れて、
「大丈夫か?」と。

「うん、大丈夫。」と答えると同時に、ものすごく寒いことに気づいて。
「寒い、寒い、さむーーい」
と、連呼しておりました。

そのまま、また眠ってしまったのか。次に気づいた時には、ひとりの個室、特別室で。
そうだ、今夜は看護師さんがつきっきりで、特別室で一晩を明かすんだった。

2日ぐらい、ほぼ眠っていたような感じ

集中室に入っても、ほとんど眠っていて、ときどき目が覚めるぐらい。
目覚めると異常に腰が痛い。
耐えきれず、「痛いです、痛いです」と何度も看護師さんに言ってしまった。
その都度、体勢をかえたり、タオルをあててくれたり、いろいろしてくださいました。
今まで腰痛とかなかったのに、なんでだろうというのと、
腰が痛いってこんなにつらいんだという思い。

そんな状態が丸1日も続き、時間の感覚も、日にちの感覚もなく、
手術の結果がどうかの思考能力も、全くなく。
あっという間に手術の次の日の夕方になったのです。

でも、事前に、ネットで情報検索していたとおり、全身麻酔であっというまに眠り、
目が覚めれば手術は終わってました。すごい!

手術後、初めて歩いてみると激痛が!

手術の翌日のお昼、ちょうど手術から丸1日がたち、看護師さんから促される。

看護師さん
看護師さん

おくのこさーん。そろそろ病室に戻りましょうか。
しっかり歩いたほうがいいので、病室まで歩きましょう。
立ち上がれますか?

と。「はい!」と気持ちは元気なのに
ほぼ眠ってばかりだった私は、ここでやっと現実に。
お腹に、力が入らない。ちょっとでも、お腹に力を入れると痛い。

「あれ?」気持ちと体がうらはら
気持ちは元気なのに、なんだこの感覚。

ちょっと体を動かしただけなのに、体がくの字になるぐらい痛い。

看護師さん
看護師さん

大丈夫ですか?

まだ、力入れると痛いと思うので、ゆっくりいきましょう

やさしく言ってくれる看護師さんだけど、「では、もう少し休みましょう」じゃないんだ。
ずいぶんキツイことを要求される。

ゆっくり起き上がってみるも、やっぱり痛い。力が入らない。

それでも、「運動したほうがいいから」とあきらめてくれない看護師さんを横目に、
自分に喝を入れて、歩きだしたのでした。
たぶん9階ぐらいから、6階まで。エレベーターを使ってるのに、
前かがみも前かがみ、くの字状態で、とぼとぼ歩く私。
その横に、しっかりついてきてくれる看護師さん。

やっと4人部屋の病室についたときには、うめきながら、すぐベッドに横になり、また眠ってしまったのでした。

日付が変わって、手術から2日目の水曜日

夕方ぐらいに弟が来てくれて、少し話したんだけど、また眠ってしまう。

起きた時には、弟はいなくて、夢だったのかな?と思うくらい。ぼんやりしていた。
手術のことを話したような。

  • 手術は、4時間ぐらい。
  • 大腸の”がん”の部分と、まわりのリンパも取り除いた。
    リンパに転移しているかどうかは、これから調べて1週間後ぐらいに分かる。

きちんと普通の意識に戻れたというか、正常になったのは、その夜だったかもしれない。
痛み止めはしてるので常に痛くはないけど、
くしゃみ、せき、笑う、と、お腹が痛い。
なので、寝た姿勢のまま、ほぼ動かず、笑わないでいいテレビをみたり、本を読んだり。

手術のキズは、私はまだ見ない

手術から2日目の木曜日の朝、手術してくださった先生方が来られて、
「経過はどうですか?お腹見せてください」
と。

そういえば、今の今まで、自分のお腹をまだ一度も見てない。
私、手術したんだった。お腹にどんなキズがあるんだろう。怖くて見れない。
自分で見ないようにして、パジャマをめくる。

お腹を見た先生たちは口々に、
「傷跡、きれいな状態です。順調ですね。よかったです」
と言いながら、笑顔で去っていきました。

傷口がどうなってるか気になったけど、なんとなく、まだ、見ないでおこうと決めたのでした。

生まれて初めて「太りたいです」

その日の午後ぐらいから、すごくお腹がすいてきた。
そういえば、手術の日の月曜日から3日間、点滴だけで何も食べてない。
こんなに、食べないことって生まれて初めてかもしれない。
なのに、「なるべく歩いてください」と言われ、病棟フロアを、うろうろするも、
お腹が空きすぎて、ふらふら状態。

お昼が過ぎて、今度は看護師さんが来て

看護師さん
看護師さん

おくのこさん。

体重だけ計ってきてもらえますか?

歩いて100メートルぐらいのところにある体重計で、計ってきてくださいと。
お腹がすいて、お腹に力が入らなくて、やっぱり体をくの字にして、歩いていき、
やっとの思いで、体重を計ってきたのでした。
こんなに、お腹がすいたことも、今までなかった。
っと、手術後はじめて体重計に乗ると、

おくのこ
おくのこ

痩せてる!

自分の中での「ここからは絶対に痩せない」という大台を、はじめて超えてる!

もともと、痩せているほうだけど。理想の体重を超えて、痩せている。
どんなにがんばっても、この大台を超えたことがなかったのに。
超えてしまうと、一気に不安になった。
どうしよう。どこか悪いのかな。そうだ、私”がん”だったんだ。
もしかして、痩せる=”がん”が悪化してる? どうしよう。

看護師さんに、元気なく体重を伝えて。痩せてることにびっくりしたことを告げる。

看護師さん
看護師さん

おくのこさん。体重どうでした?

おくのこ
おくのこ

あっ、はい。○○キロです。

痩せてて、びっくりです。

看護師さん
看護師さん

そうですね。なにも食べてないし、しょうがないですよ。
どう? 痩せてて、うれしい?

おくのこ
おくのこ

いえ。いやです。太りたいです!

これ以上、痩せたくないです。太りたいです!

太りたい??
そんな言葉が、私のクチから出たのは、人生で初めて。
そこで、あらためて、自分は病気で痩せていってる。
どんどん痩せていったらどうしよう・・・という不安がよみがえってきた。
そう、手術が終ってからは、全身麻酔あけの、意識もうろう感覚と、
”がん”は全て取り除いたから、スッキリ!っていう感じだけで、すっかり忘れていた。

リンパ転移の結果がまだ分からないんだった。
その結果でステージが確定して、抗がん剤治療になるのかどうかが、いよいよ分かるんだった。